99回月例研究会のお知らせ

演題:郊外の風景 文明・文化の表象としての風景

講演者名:中島直人(慶應義塾大学准教授)

かつて郊外の風景は都市に住む人々による行楽の中で発見された。それは、人間と自然とが一体化したある一つの文明が構築したコスモスといえよう。都市の近代化は、郊外の風景に「郊外生活文化」創造という役割を与え、そこでは住民による風景の創出が試みられた。しかし、戦後に勢いを増した都市化は郊外に文化的成熟の時間を与えることを許さず、設計空間としての団地、ニュータウン、そして、それらの周囲では、次第に「郊外化」の風景、設計者さえ不在の風景が広がっていった。こうした過程で消えていった風景への関わりの回復こそが、これからの郊外を考える一つの論点となりうるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です