第44回比較文明学会大会概要
第44回比較文明学会大会概要
1.日程
2026年11月21日(土)・22日(日)・23日(月)
2.会場
国立民族学博物館(大阪府吹田市千里万博公園10-1)
3.大会テーマ
「人類にとって不可視のものとは何か―見えないものの比較文明学」
4.大会趣旨
人文社会科学の諸学問ではこれまで、宗教や文化、コスモロジー、オントロジーを構成する多様な存在に注目し、人間世界における不可視の諸力や諸存在のあり方を問い続けてきた。近年では、近代世界が合理性によって呪術や不可視のものを排除してきたという理解そのものが再検討され、むしろ現代性(モダニティ)のなかにこそ、技術、記憶、国家、環境、戦争といった形で不可視の力が深く浸透していることが指摘されている。とりわけ人工知能の急速な普及は、技術が単なる道具にとどまらず、助言者や協働者、あるいは「想像上の友人」として人間生活に入り込む新たな局面を示している。一方で、環境破壊が進むことで、私たちが生きる世界はどこか幽霊が取り憑いたような気配を帯びている。たとえば、戦争の幽霊や記憶の幽霊が、パレスチナやウクライナでの侵攻や植民地状況から立ち現れている。
さらに、社会制度としての「国民」や「民族」すら、呪術に類する「不可視」として構想できるかもしれない。一度想像されたそれは、ヘイトスピーチや深い愛着といった現象として可視化されていく。
本大会では、このような問題意識のもと、「不可視とは何か」を比較文明論的かつ人類学的に再考することを目的とする。本大会では、人間文化研究機構グローバル地域研究事業東ユーラシア研究プロジェクトとの共催により、宗教や信仰に限らず、国家、共同体、技術、記憶、環境を含む広い文明論的視野のなかで不可視の問題を位置づけると同時に、中国、ロシア、モンゴル、朝鮮半島などを含む広域的地域における衝突と共生、ウェルビーイングなどの問題を具体的な事例に即して検討する。加えて2025年の大阪・関西万博が掲げた「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを問題意識として継承する。それは国立民族学博物館で開催された第38回大会のテーマであつた「『いのち』をめぐる文明的課題の解決に向けて」の展開にほかならない。
本大会の基本的な立場は、不可視とは単に知覚されないものではなく、人間が文化的・社会的に構築してきた世界理解の枠組みを超えて立ち現れるものである、という点にある。世界が既存の秩序に収まりきらず、力が制度や権力の境界をあふれ出し、存在が所与のカテゴリーから逸脱する時、不可視の次元は顕在化する。こうした現象は、宗教実践や霊的存在のみならず、国民意識、ヘイト、愛着、喪失の記憶、あるいは「いのち」、さらにはテクノロジーへの期待と不安にも見いだすことができるだろう。
そこで本大会では、比較文明学的な視点から人文社会科学の諸学問が不可視のものにいかに接近しうるかを検討する。これにより、人びとが不可視のものとの関わりのなかで、いかに生の意味を構築し、ウェルビーイングや衝突、共生のかたちを生み出しているのかを明らかにし、現代世界の理解に対する人文社会科学や比較文明学の新たな貢献を提示したい。
5.プログラム[第1日目]
(会場:国立民族学博物館セミナー室)
(1)役員会、編集委員会
(2)大会テーマ報告・グループ報告・個人研究報告
(3)総会、懇親会 (みんぱくレストラン)
[第2日目]
(会場:国立民族学博物館インテリジェントホール(講堂)
(1)基調講演
フィリップ・デスコラ氏(コレージュ・ド・フランス名誉教授)
Landscape as transfiguration
(2)国際シンポジウム (人間文化研究機構グローバル地域研究事業東ユーラシア研究プロジェクトとの共催)
テーマ:「見えないものの比較文明学-東ユーラシアとその他の地域の比較から」(仮題)
(英語:同時通訳付き)
司会:島村一平(国立民族学博物館)
シンポジスト:グレゴリー・デラプラス(フランス高等研究実習院教授)、稲賀繁美(日文研名誉教授)、アレヴィテーナ・ソロヴェーワ(タルト大学アジア研究センター長/民博客員教授)、山中由里子(民博教授)、アンヌ・クリステーヌ(フランス国立科学研究センター(CNRS)名誉教授)、黒田賢治(民博)、竹沢尚一郎(民博名誉教授)
[第三日目] 会場:第四セミナー室
国際シンポジウム・二日目
阿毛香絵(京都大学准教授)アリーナ・オプレリアンスカ(タルト大学博士後期課程)廣田龍平(大東文化大学助教)、末森薫(民博准教授)、小倉紀蔵(京都大学名誉教授)
コメンテーター:フィリップ・デスコラ
6.参加費:会員3,000 円、学生会員・非会員500 円
7.連絡先:第44回比較文明学会大会実行委員会
〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1 国立民族学博物館 島村一平研究室
電子メール jscsc44th※gmail.com (※を@に読み替えてください)
※第44回比較文明学会大会個人研究発表およびグループ研究発表募集要項について
現在、大会1日目(2026年11月21日(土))および3日目((2026年11月23日(月)における個人研究発表およびグループ研究発表の報告者を募集しております。会員の皆様より多数のご応募をお待ち申し上げます。詳細は、学会ホームページでご確認下さい。申し込み締切日は、2026年9月11日(金)23:00(締切厳守)となっております。
以上
