大会プログラム

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大会テーマ:「文明と戦争」

 

趣旨説明

 記念すべき第40 回大会は、当初、新しい未来を切り開く創造的なテーマによる開催を計画していた。だが2022 年2 月に、世界情勢はがらりと変わってしまった。ロシアによるウクライナ侵攻である。比較文明学会として、この喫緊のテーマに取り組まないことは許されないはずだ。急遽、当初の計画を白紙に戻して、「文明と戦争」をテーマとして掲げることにした。本学会のこれまでの大会においても、また学術誌『比較文明』の特集においても、「文明と戦争」は論じられたことがなかった(第35 回大会のテーマに「暴力と文明」があった)。今回はじめて、このテーマに真正面から取り組むことになる。緊急を要する時事的な問題ではあるが、比較文明という「大きな視座」から大局的に論じてみたい。第38 回大会はコロナ禍にもかかわる「いのち」の問題、第39 回大会は少数派が迫害を受ける「多数派支配」の問題を論じたわけだが、第40 回もまた、アクチュアルな問題を扱いつつ、本学会の特長である「大きな視座」の確保を目指したい。

 わたし(小倉)の考えでは、文明とは〈2〉である。自然の火から人工の火を区別したこと、栽培できる植物とそれ以外の植物を区別したこと、飼い慣らすことができる動物とそれ以外の動物を区別したこと、言語と単なる音声を区別したこと、壁によって都市とその外側を区切ったこと、限りある肉体的生命と永遠に生きる霊的生命を区別したこと、精神と物質を区別したこと……これらの区別によって、地から地以外の「なにか」を取り出すこと、XとX 以外を区別すること(2 つにすること)、そして区別された2 項のうち一方だけに特別な価値を与えることが、文明の誕生の機制であった。そしてこの〈2〉の不安定な切断状態が、ひとびとの意識において慣習化され日常化され安定化されていく過程が、文化である。したがって文化には、切断状態の不安定さを含んだ流動態もあれば、切断が常態になってもはや動きの鈍くなった静態に近いものもある。

 文明とはこのような切断というラディカルな人間的行為であるので、そもそも「たたかい」という行動とは親和性があるといえるかもしれない。ひととひとがたたかう、という極限状態に関して、文明はいかにかかわってきたのか。あるいはたたかいを先導してきたのか。テーマがテーマだけに、道徳志向的に論じてしまいたい誘惑はかぎりないが、善悪の価値にできるだけ還元しないよう、踏ん張って議論してみたいと思う。

 

1.日 程:2022年11月26日(土)、27日(日)

2.場 所: 京都大学吉田南キャンパス(オンライン、ハイブリッド開催の可能性あり)

3.プログラム:

【大会1 日目 11 月26 日(土)】

10:00~12:00 役員会

12:30~ 受付開始

13:00~14:00 石毛直道先生特別講演

14:15~17:00 シンポジウム(文明と戦争)

17:10~18:00 総会

18:15~20:00 懇親会(未定)

【大会2日目 11月27日(日)】

9:00~ 受付開始

9:30~12:00 自由論題(個人発表)1

13:00~14:00 自由論題(個人発表)2

14:10~15:00 服部英二先生基調講演

15:10~16:00 金泰昌先生基調講演

16:10~17:30 対談・討論

4.参加費:会員3,000 円、学生会員・非会員500 円

5.連絡先:第40 回比較文明学会大会実行委員会

〒606-8501 京都府京都市左京区吉田二本松町 

京都大学 総合人間学部 小倉紀蔵研究室(Eメール:ogurakizo*kd6.so-net.ne.jp)

*を@に読み替えてください。                       

以上

大会実行委員長 小倉紀蔵

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