奥野圭太朗『旅行業界におけるクレーマーの意義に関する社会学的一考察』

 近代社会における経済関係は「生産者」と「消費者」に分離しているが、観光においては、「生産者」の側に立った研究がほとんどで、「消費者」側の研究はほとんどなされていないのが実情。

  この観点から、奥野氏は“本来のクレーマー”とは、「レストランやホテルなどの対象を、より良いものにしていこうとする『崇高な意志』のもとに、自らが犠牲になって、問題点を対象に嫌がられるのも覚悟で指摘する客のことを指す」と定義し、旅行や出張の多い環境のなかで、ホテルや航空会社、ガイドなどの具体例をあげながら、検証を続けていく。奥野氏自身が「本来のクレーマー」となり、さまざまなシチュエーションのなかで、ホテルや航空会社、旅行会社が対応していく過程を克明に辿り、実際に起こっている旅行業界の問題点をあぶり出すことに挑戦している。現場担当者には、息が詰まるような緊迫したシーンが個別事例として提示されている。

  「旅行業界にフィードバックされる形で役に立つことを願ってやまない」と著者がいうように、旅館やホテル、旅行会社、航空会社、さらには民間会社だけでなく行政機関にも参考になる事例が詰まっている。学術的な研究材料としても活用できる。

  A5判76ページ。定価は本体850円(税別)。送料含め980円。今後電子書籍化も予定している。

  問い合わせ=旅行新聞新社 電話:03(3834)2718。 (旅行新聞新社HPより転載)

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