第101回月例研究例会のお知らせ

日時:2015年7月26日(日)15:00~17:00
会場:東海大学代々木校舎 4408教室(4号館4階)

講演者:桑子敏雄氏(東京工業大学大学院 教授)
講演題目:「恵みと脅威の風土論」
講演要旨:
 社会的合意形成のコーディネータとしてこれまで従事してきた多くの社会基盤
整備は、その多くが環境の保全にかかわるものであったが、環境を脅かす基盤
整備は同時に自然の脅威に備えるためのものであった。すなわち、生態系を脅
かすダム建設や河川整備、海岸事業などは豪雨、洪水、高波、津波といった自
然の脅威が人間にとって災害となることを防ぐためのものでもあった。
 災害対応は、自然の営みが人間にとって害になるレベルに備えるものである。
つまり、近代の社会基盤整備は、自然の「荒ぶる」営みだけを視野の内部に置き、
自然の恵みを視野の外に置くことで進められてきたのである。本発表では、自然
の恵みと脅威が自然の営みの表裏として存在する日本の風土のもつ意味を問い
直し、恵みと脅威の包括的マネジメントの思想を組み立ててみたい。