高橋誠一郎『黒澤明』で「白痴」を読み解く
黒澤明で「白痴」を読み解く
高橋誠一郎著
■書誌情報
ISBN978-4-915730-86-3 C0098
四六判上製 本文縦組352頁
定価2940円(本体2800円+税)
2011年8月
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■概要
『白痴』の方法や意義を深く理解していた黒澤監督の映画を通し、登場人物の関係に注目しつつ『白痴』を具体的に読み直す──。ロシアの「キリスト公爵」とされる主人公ムィシキンの謎に迫るだけでなく、その現代的な意義をも明らかにしてゆく。
■目次
はじめに──混迷の時代と「本当に美しい人」の探求
序章 「謎」の主人公──方法としての文学と映画
一、長編小説『白痴』の構想
二、映画《白痴》の構造と特徴
第一章 「ナポレオン風顎ひげ」の若者──ムィシキンとガヴリーラ
一、外国帰りの若者
二、「仮面」のテーマ
三、「神様の遣い」のような若者
四、「謎の下宿人」
五、「非凡人」への憧れ
第二章 ロシアの「椿姫」──ナスターシヤとトーツキー
一、『白痴』と『椿姫』
二、黒澤映画における『椿姫』のテーマ
三、ナスターシヤの「新しい」解釈
四、「報復」の衝動
第三章 ロシアの「イアーゴー」──レーベジェフとロゴージン
一、噂とスキャンダルの手法
二、「混乱した社会」と「力の権利」
三、映画《醜聞(スキャンダル)》
四、「大地主義」の理念とロゴージン
第四章 「貧しき騎士」の謎──アグラーヤとラドームスキー
一、『貧しき騎士』とムィシキン
二、アグラーヤの花婿候補
三、決闘とその考察
四、二つのムィシキン像
第五章 「死刑を宣告された者」──イッポリートとスペシネフ
一、「思想上の対立者」
二、「殺人」の「使嗾者」
三、《キリストの屍》と「最後の信念」
四、さまざまな画策
第六章 ロシアの「キリスト公爵」──悲劇としての『白痴』
一、花婿候補としてのムィシキン
二、影の主人公・パヴリーシチェフ
三、悲劇の誕生
四、十字架というシンボル
終章 ムィシキンの理念の継承──黒澤映画における『白痴』のテーマ
一、「記憶」の力
二、文明の危機とその克服
三、現実の直視と普遍性への視野
あとがき