第42 回比較文明学会大会概要
第42 回比較文明学会大会概要
大会実行委員長 三田 剛史(明治大学)
大会テーマ:「留学の比較文明学」
趣旨説明
グローバル、グローバリズムという言葉がこれほど取り沙汰されているにもかかわらず、一つのグローブの表面で不信と分断と対立が煽られ暴力の連鎖を招いているのは、現代文明の大きな矛盾である。「危機に挑戦する比較文明学」を担う本学会は、その設立趣意書で、「現代の世界と諸文明の在り方を問い、現代文明の中で苦闘する人びとと共闘する」(松本亮三「あとがき」『人類と文明のゆくえ─ 危機に挑戦する比較文明学』東海教育研究所、2023 年、500 頁)ことを提唱している。本学会の服部英二氏は現代世界の絶え間ない紛争のもとに「他文化に対する無知とそれによる倨傲」(服部英二・鶴見和子『「対話」の文化─ 言語・宗教・文明』藤原書店、2006 年、206 頁)があることを指摘している。いま必要なのはやはり「文明間の対話」(服部英二)である。
服部と鶴見が対話の中で言及しているように、文明間の対話の基盤となるのが言語である。言語を学び言語を通じて異文明を理解することで文明間の対話が可能となる。言語を学び異文明における精華と成果を学ぶこと、この目的に特化した主体的行為が留学にほかならない。文明の交流と対話を促進する営みの一つが留学なのである。
日本を例にとると、7 世紀以来留学生を送り出すと同時に、20 世紀に入る頃からは留学生を受け入れていた。古代以来中国語を学び中国文明あるいは中国を通じて世界の文明の精華を取り入れ、近世・近代に至っては西洋語と西洋文明を学んだ。この歴史に加え、近代以降は主にアジアからの留学生を受け入れた。20 世紀前半には、負の側面も大きかったが、日本語教育と日本を通じた近代文明の成果の伝播が行われるようになった。
しかし現在、先進文明を学ぶためという古代以来の留学の意義は薄れているのではないか。「留学という行為が、文化の低い方から高い方へという一方的なものではなく、互いに異質な文化を知り合うという水平的、相互的なものとなるような時代」(上垣外憲一『日本留学と革命運動』東京大学出版会、1982 年、218 頁)が到来しているのではないか。
そこで本年度比較文明学会大会のテーマを「留学の比較文明学」とし、人類社会で行われてきた留学という営みの意味を問い直し、現代における留学の意義を問いたい。
1.日 程:2024年12月21日(土)・22日( 日)
2.場 所: 明治大学和泉キャンパス(後援:明治大学史資料センター)
3.プログラム:
【大会1 日目 12 月21 日(土)】
10:00~12:00 役員会
12:30~ 受付開始
13:00~16:30 基調講演、質疑応答
16:45~17:45 総会
18:00~20:00 懇親会(和泉キャンパス内)
【大会2日目 12月22日(日)】
9:00~ 受付開始
9:30~12:00 自由論題(個人発表)1
13:00~14:00 自由論題(個人発表)2
14:15~17:00 共通論題「留学の比較文明学」(個人発表および
グループ発表)
4.参加費:会員3,000 円、学生会員・非会員500 円
5.連絡先:第42 回比較文明学会大会実行委員会
〒168-8555 東京都杉並区永福1-9-1 明治大学商学部 三田剛史研究室
大会専用電子メール:jscsc42nd*gmail.com(*を@に読み替えてください)
第42 回比較文明学会大会個人研究発表およびグループ発表募集要項について
現在、大会2 日目(2024 年12 月22 日 (日))における個人研究発表およびグループ発表の報告者を募集しております。会員の皆様より多数のご応募をお待ち申し上げます。詳細は、学会ホームページでご確認下さい。申込締め切り日は、2024 年9 月13 日 (金)23:00(締切厳守)となっております。