「デジタルミュージアムの可能性と限界」伊津信之介

宗像市が2005年5月に公開した建物を持たない博物館『むなかた電子博物館』が提起する博物館の現代における存在意義について、デジタル情報の展示と閲覧のあり方から『デジタル文明』の一側面に焦点をあてて考察する。

現在世界各地の博物館、美術館、水族館などはICTを中心にするデジタル技術を取り入れる事に熱心であり、施設間の連携や展示施設と野外観察を結びつける試みなどへの取り組みが行われている。このような試みの多くは各施設の現有展示物をICTによって再評価することである。

建物の中の展示物を持たない『むなかた電子博物館』は、デジタル文明時代の象徴的試みである。活字とモノが文明を象徴する時代には、施設にモノを収蔵し来館者が閲覧する方式は有効であったが、文明の成果がビットである時代には展示施設は形骸化する。

各展示施設がICT技術を取り入れることは上記危機感に基づくものであり、『むなかた電子博物館』はその危機を解決する一つの手段である。

むなかた電子博物館  http://d-munahaku.com/

東海大学福岡短期大学・伊津信之介 

2005.6.11

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