小倉紀蔵編『比較文明学の50人』(筑摩書房)
このたび、『比較文明学の50人』(筑摩選書、2024年12月刊)が完成し、12月16日に配本となります。
比較文明学会の会員17名が、日本の宗教者・思想家・文学者など50名をとりあげ、比較文明学的な視座から再解釈した本です。
すべてのページに斬新な切り口がちりばめられており、「日本の宗教・思想というのはそもそも比較文明学的な試みだったんだな」ということがよく理解できる内容となっております。
目次
はじめに――比較文明学はなにをするのか 小倉紀蔵
Ⅰ
本居宣長――新たな「いのちの思想」の構築者 岩澤知子
岡倉天心――西洋文明の代替案を示した英語名人 稲賀繁美
福澤諭吉・丸山眞男・加藤周一――近代をめぐるアポリアへの挑戦者 小倉紀蔵
西田幾多郎――西洋近代文明への対抗軸を求めて 山本英輔
鈴木大拙――文明交流圏の結晶 テン・ヴェニアミン
賀川豊彦――死線を越えて、共有文明を描く 濱田 陽
柳宗悦・矢代幸雄・岡本太郎――非西欧の藝術・美術の発信者たち 稲賀繁美
和辻哲郎――「生きた倫理」と「文明共生の哲学」の探求者 大森一三
中村元――比較思想から比較文明へ 保坂俊司
梅棹忠夫――文明の生態史観 中牧弘允
田中正造・南方熊楠・石牟礼道子――文明批判と自然 小倉紀蔵
緒方貞子――「共生の文明」の実践者 佐藤壮広
小田実――世界を駆けた比較文明学の実践者 加藤久典
伊東俊太郎――比較文明学を確立した統合の知の巨人 服部英二
Ⅱ
法然――菩提心をめぐる通底性の拡大 小倉紀蔵
日蓮――「会通」しない仏教 小倉紀蔵
山鹿素行――「通底」しない儒学 小倉紀蔵
安藤昌益――「反文明」の比較文明 小倉紀蔵
新島襄――「倜儻不羈」こそ比較文明学の根本 小倉紀蔵
頭山満――八紘一宇の文明論 尹粹娟
後藤新平――自治の精神 小倉紀蔵
井上円了――比較哲学による日本的教育の創造 小倉紀蔵
新渡戸稲造――文明の暴力性に抗する「武士道」 小倉紀蔵
内藤湖南――日本文化と「豆腐のニガリ」論 小倉紀蔵
夏目漱石――人とこころの探求者 濱田 陽
河上肇――共産主義への比較文明論的視点 三田剛史
田辺元――「真実」を希求した情熱の哲学者 田島樹里奈
矢内原忠雄・矢内原伊作――信仰と思考の溝を越えて 加藤久典
三木清――人間の生存理由を問い直す思考 小平健太
川端康成――文明の彼岸へ 郭旻錫
唐木順三――孤独と酒と信州と 田島樹里奈
吉川幸次郎――身体化された異国の精神 小倉紀蔵
西谷啓治――近代の超克 小倉紀蔵
家永三郎――否定と近代 小倉紀蔵
井筒俊彦――「共時的構造化」の比較文明学 小倉紀蔵
猿橋勝子――地球環境と女性研究者に力を! 田島樹里奈
遠藤周作――神は文明のどこに宿るか? 大森一三
三島由紀夫――無数の文明の共存の実験 小倉紀蔵
中村雄二郎――越境する「知」の領域を切り拓く哲学者 小平健太
中根千枝――恣意的な比較の暴力性 小倉紀蔵
なだいなだ――常識を疑いつつ理性で生きる 加藤久典
岡田英弘――大文字の歴史を支える小文字の歴史 小倉紀蔵
五十嵐一――東西文明間・聖俗の狭間に立った殉教者? 稲賀繁美
おわりに 小倉紀蔵
人名索引
出版社:筑摩書房
発行日:2024年12月26日
ISBN: 978-4-480-01814-4
なお、12月21日、22日の大会(明治大学和泉キャンパス)でも、この本を販売いたします。ぜひお手にとっていただきたいと存じます。
小倉紀蔵